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地球は無双のお宿

「遊ぼう」っていうと「遊ぼう」っていう。「馬鹿」っていうと「馬鹿」っていう…。そして「ごめんね」っていうと「ごめんね」っていう~こだまでしょうか~12年前(2011年)東日本大震災があってTVの画面から企業などの宣伝CMが流れなくなり、宮沢賢治を始めいくつかの詩歌が繰り返し流れ、その中で金子みすゞさんの詩が心に残る。

 26歳の若さで亡くなった金子みすゞさん(1903年~1930年)の童話集(ハルキ文庫)一冊のみ所蔵~出会いは35年ほど前に活動していたQCサークル関係の小冊で見つけた「私と小鳥と鈴と」。

 

〇私が両手をひろげても、お空はちっても飛べないが、飛べる小鳥は私のように、地べたを速く走れない。私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、あの鳴る鈴は私のようにたくさんの唄はしらないよ。鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。

 

 同作品に加筆し盲目歌手新垣勉氏のCDで聴く。「違っていい…」はすべてを認め受け入れる人柄が見え優しさが溢れている。以前、北海少年院で講演した時にも金子さんの「星とたんぽぽ」を紹介。

 

〇青いお空の底ふかく、海の小石のそのように、夜がくるまで沈んでる、昼のお星は眼に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬけれどもあるんだよ。

 昼間の空を見上げてみると、青空や雲は見えて星々は見ることが出来ない。けれど想像してご覧、あるんだよ。院生には施設内では面会以外に会えない父母や家族、見えないけれど想っていてくれるんだよ…と伝えたかった。そして相手の目線に立ち、行動する時は想像力を活かして欲しいとも。

 

「大漁」は人間中心の中で生き死を考える~

〇朝やけ小やけだ大漁だ 大羽鰮(おおばイワシ)の大漁だ。浜は祭りのようだけど 海の中では何万の鰮のとむらいするだろう。

 

「土」はこの地球に無用なものはないのだと~

〇こッつん こッつん打(ぶ)たれる土は よい畠になってよい麦うむよ 朝から晩まで踏まれる土は よい路になって車をとおすよ 打たれぬ土は踏まれぬ土は要らない土か。いえいえそれは 名のない草のお宿をするよ。

 

私たち生き物みんな地球は大切で無双の『お宿』なんだと自覚することが出来ればと想う。大切にする心がないと地球が住みにくいと こだました『お宿』になって行く。地球に感謝し「ありがとう」といえば、「ありがとう」とこだますると信じたい。

 金子みすゞ童話集再読して想った。 【田所】

 ハルキ文庫/編集:矢崎節夫 参照  写真提供/Wikipedia